薬剤がない。自然周期の勧め
4月より体外受精の保険診療が開始し約半年が経過しました。
今まで高額であった治療の経済的負担が軽くなり、全国的に症例数は激増しています。
当院も症例が増えております。
そのためか、いろんな薬剤が不足しております。
特に今払底しているのが、プロゲステロン製剤です。
特にプロゲステロンの膣坐薬の不足が深刻です。
ホルモン補充周期では、自分の体からのホルモン分泌がないため、大量のプロゲステロン
必要とします。特に妊娠が成立した場合は、妊娠8〜9週までプロゲステロンの補充を行いますので、
プロゲステロン膣剤を大量に消費します。
妊娠周期では9週末まで補充すると、プロゲステロン膣座薬が126個必要となります。
現在のプロゲステロン製剤の供給量では、ホルモン補充療法での凍結融解胚盤胞を行うことが困難になってきています。
では、どうすればいいのでしょうか。
自然周期での凍結融解胚移植があります。
自然周期では自然排卵を促し、自分の体の中からでてくるホルモンを利用しますので
ホルモンの補充量は圧倒的に少なくてすみます。
ホルモンの補充期間は、基本的には凍結融解胚移植日から妊娠判定日までとなります。
妊娠が成立した場合、その後は通常の妊娠と同様、
妊娠性黄体からのホルモン分泌が増えるため、ホルモン補充量は必要なくなるのです。
自然周期の妊娠周期ですと、プロゲステロン膣座薬は20個程度ですみます。
膣坐薬が苦手な場合、内服で代用も可能です。
自然周期は、スケジュールが立てにくいのですが、
ホルモン量が少なくてすみます。
エストラーナテープも不要です。
そのため、薬剤の管理などはすごく楽になります。
妊娠率も自然周期とホルモン補充周期では、変わりません。
当院は、もともと自然周期での移植が中心でした。
日曜日、祝日も診療しているので正確に凍結融解胚移植日を決めることができます。
今後、しばらくは自然周期での凍結融解胚移植を行っていく予定です。
どうかご理解のほどお願いいたします。
前回の記事もご覧ください↓
※追記:2023.5薬剤不足は解消しつつあります。
移植については、ホルモン補充周期移植 自然周期移植の2つよりご希望をお伺いすることが可能です。
詳しくは移植周期前に医師にご相談ください。
医療法人ウェルビー
なかむらレディースクリニック
院長 中村嘉宏