iPS細胞から卵子、精子ができるかも!
こんにちは院長の中村です。
先日、ヒトiPS細胞から精子、卵子のもととなる細胞を大量に作りだすことに京都大学の研究チームが成功したという衝撃的な発表がありました。
外部リンク
ヒトiPS細胞から前精原細胞及び卵原細胞を大量誘導
― ヒト生殖細胞試験管内造成研究のマイルストーン ―
これまでマウスではiPS細胞から卵子、精子を作出して、健康な子供ができることに成功しています。しかしこの方法は極端に効率が悪く、またマウスのES細胞を必要とするなど様々な制約がありました。
今回の研究は、試験管内で特定の条件下でヒトiPS細胞を培養し、卵子のもととなる卵原細胞や精子のもととなる前精原細胞を大量に(100億倍!)に増やすことに成功したという内容です。
※出典:模式図 日経新聞より
従来の方法とは違い、マウスなどの細胞を必要とせず試験管内で完結し、しかも従来の何億倍も細胞が増殖する画期的な技術が開発されたのです。
もちろん、卵原細胞や前精原細胞から卵子、精子に分化させる必要があり、すぐに不妊治療に使えるわけではありません。倫理的な問題もクリアする必要があります。しかしながら早期に卵子が枯渇する早発卵巣機能不全や無精子症などの不妊原因の解明には大いに役立つ技術です。
これからの研究成果にも期待したいと思います。
余談ですが、iPS細胞を発明した山中伸弥先生は、私の大学院時代の恩師であり4年間丁寧に実験指導をしていただきました。iPS細胞に関連したニュースに接するたびに当時のことが思いだされます。それらの思い出は私にとって最大の財産であり、偉大な発明をされる方はどのように行動し、どのような思考法をするのかがよくわかりました。また機会をあらためてご紹介したいと思います。
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