日本アンドロロジー学会第38回学術大会に参加してきました
こんにちは、培養室です。
2019年6月21・22日に大阪国際会議場で行われた日本アンドロロジー学会第38回学術大会に参加してきました。今回の学会では、精子の研究について多くの報告があり活発な議論が交わされました。
その中で特に興味を持った内容を2つの発表について紹介したいと思います。
まず始めに紹介するのは
【ビタミンA過剰によるマウスの精子形成障害】です。
ビタミンAは体内に入ると、レチノール、レチナール、レチノイン酸の3つの形で存在します。そのうち、レチノイン酸は精子を作り続けるために重要な役割をしていると言われています。ビタミンAが欠乏していると、精子は作られません。
ビタミンAを多く摂取した方がよいのでは?と考えてしまうかもしれません。しかし、ビタミンAの過剰摂取は精子の運動率低下や形態異常が増加させてしまう結果が示されました。
これはマウスでの研究ですが、みなさんも精子に良い食事を良いからといって一つの栄養素を過剰に摂取するのではなく、バランスよく摂取するようにしましょう。
次に紹介するのは
【MAYUを用いて凍結した極少精子で顕微授精し妊娠、出産した報告】です。
高度乏精子症や無精子症の方から精巣内精子採取術(TESE)により得られる精子はとても少ないです。そのような場合に通常の方法で精子を凍結すると、融かした後に洗浄操作をしてから顕微授精になります。洗浄操作をすることで不動精子と良好精子を分離されますが、精子がとても少ないと回収が困難です。その課題などを解決するために、「MAYU」と呼ばれる極端に精子が少ない場合に用いられる凍結保存用容器が開発されました。「MAYU」を用いて顕微授精し、妊娠から出産へ至った報告はまだ少ないですが、今後の報告が期待されます。
患者様によりよい治療をお届けするため、さらに知見を増やすことができるよう頑張ります。