新しい倒立顕微鏡を導入しました!
こんにちは、培養室です。
先日、培養室で胚の観察を行ったり顕微授精を行うための倒立顕微鏡を新たに導入しました。
この顕微鏡は、特殊な設定と専用のガラスシャーレを使用することで顕微授精を行う際に紡錘体と呼ばれる卵子内に存在する構造体を観察することができます。
成熟している卵子には極体と呼ばれる構造体が見られ、紡錘体は極体のそばで観察されますが、中には極体から離れた位置に紡錘体が存在することもあります。
通常の顕微授精は極体を目印にして行われますが、紡錘体の位置がずれていることを知らないまま顕微授精を行うと紡錘体が損傷する恐れがあります。紡錘体が損傷すると受精しなかったり、発育が進まないなどの影響がでます。
写真の4個の卵子のうち、左側から3個には極体が白く見えています。
一番右の卵子では極体は観察できませんでした。
次は紡錘体観察を行っている時の動画です。
画面の明暗が入れ替わったり、コントラストがきつめに掛かっている映像のため、目には優しくありませんが、紡錘体自体はきれいに確認できると思います。
暗転していた動画が明るくなると同時に、卵子内にぼんやりと白く、小さく光っているように見える様子がご覧いただけます。
これが紡錘体です。
動画のスタート時点では卵子の9時あたりに、途中からは12時あたりにあります。倒立顕微鏡のコントラストを操作することで、紡錘体部分が白、もしくは黒く光って見える様子が確認できます。
この他、精子も従来の倍率よりも大きく拡大してより詳細に観察することができます。精子の頭部には空胞が見られることがあり、空胞がない精子を選ぶ方が良いとの報告もあります。拡大して観察し顕微授精を行うことでより良好な形態の精子を選別することができます。
またコントロールボタンがあり、予め設定されたレンズや倍率の状態をボタン一つで切り替えることができるので細かなセッティングに時間を取られることもなく迅速に作業を行うことができます。
より良い結果を得るために今後も新しい取り組みをしていきたと思います。