よく聞かれる質問 〜妊活中のお薬〜 風邪薬編
こんにちは。院長の中村です。
めっきりと寒くなりましたね。風邪をひかれている方もいらっしゃると思います。
この季節によく聞かれるのが、「風邪薬は妊活中、あるいは妊娠初期に使用しても大丈夫か」という質問です。
結論からいいますと、ほとんどの風邪薬は問題ないです。
一般的にいう風邪は90%以上がウィルス性です。ここでは、ウィルス性の風邪についてお話します。
新型コロナウィルス、インフルエンザもウィルスが原因で、それぞれ新型コロナウィルス、インフルエンザウィルスにより引き起こされます。どちらも初期症状は、風邪と同じような症状がでます。これらは別にお話します。
まずは一般的な風邪について説明します。
風邪の症状として、主に
①発熱
②のどの痛み
③咳
④痰
⑤鼻水
が挙げられます。
風邪薬は風邪の原因となるウィルスに作用するのではなく、上記の症状を和らげる効果があります。
①発熱
抗炎症、鎮痛作用のあるアセトアミノフェンが安全に使えます。
処方薬※では「カロナール」がアセトアミノフェンを主成分としています。
市販薬では「カロナール錠」や「タイレノール®A」、「ラックル®」などが該当します。
アスピリン(サリチル酸アミド)、ロキソニン、イブプロフェンは妊娠初期は安全に使えますが、後期には注意が必要です。
当院に通院中の、妊活中〜妊娠初期にあたる方は安全に服用できます。
※処方薬:医師の指示のもと出されるお薬、処方箋が必要な薬
②のどの痛み
のどの痛みも炎症ですので、アセトアミノフェンが有効です。
③咳
咳は、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が有効です。
処方薬で「メジコン」があります。
「メジコン」は市販薬もあり、その他、「コンタック」、「パイロンPL」なども同じ成分ですので内服可能です。
また、「トランサミン(トラネキサム酸)」も問題ありません。
漢方薬の「麦門冬湯」も問題なく使えます。
④痰
「ムコソルバン」や「ムコダイン」などがあり、特に問題なく使えます。
⑤鼻水
鼻水は、主に抗ヒスタミン薬で治療します。
過去のコラム「花粉症と薬」(▶こちらから)のところでも触れましたが、抗ヒスタミン薬はほとんどのものが安全に使えます。また鼻づまりを緩和する目的でエフェドリンが配合されている場合もあります。
市販薬程度の量で短期であれば問題ありません。
以上、症状ごとに見ていきました。
風邪薬にはこれらの症状を抑えるため、上記の成分がいろいろな割合で配合されています。
例えば処方薬では「PL顆粒」が最も一般的な総合感冒薬ですが、①アスピリン(サリチル酸アミド)②アセトアミノフェン③プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(抗ヒスタミン薬)④無水カフェイン(抗ヒスタミン薬による眠気を抑えます)が配合されています。
妊活中の方、妊娠初期の方は安全に使えます。
市販薬もほぼ同じような配合になっています。
心配な方は医療機関を受診し、ご相談してください。
風邪薬はあくまでも症状を緩和するためのものです。
うがいや手洗い、体調管理など予防も重要です。
ただし、イソジンを用いたうがいは気をつけてください。イソジンにはヨード分が含まれており、甲状腺に悪影響を与える可能性があります。
ヨードが甲状腺に与える影響については別の機会にご説明させてください。
年の瀬も押し迫り、なにかとご多忙だとは思いますが、どうぞお体には気を付けてください。