実は財布にやさしいPGT-A ~その1~
こんにちは、院長の中村嘉宏です。
PGT-Aはやるだけ費用が嵩む、高額なもの……と思われがちですが、実は「財布にやさしい」技術なのです。
なぜ財布にやさしいのか?
その理由は簡単で、胚移植の値段よりPGT-Aの値段の方が安いからです。
PGT-Aをしないで移植する場合を考えてみましょう。採卵時の年齢が上がるにつれて着床しない、あるいは流産してしまう染色体数異常の胚を移植する可能性が高くなります。具体的には30代後半では半分以上、40代ではさらに急激に染色体数に異常がある胚の割合が増加します
PGT-Aを行うと染色体数に異常のある胚を移植することがなくなりますので、その分費用が安くなるというわけです。
2018年にPGT-Aの費用対効果についての論文がFertility & Sterilityに掲載されています。
Preimplantation genetic testing for aneuploidy is cost-effective. Shortened treatment time, and reduces risk of failed embryo transfer and clinical miscarriage.
この論文では以下の2点が示されています。
① 2個以上胚盤胞があれば、PGT-Aをした方が費用が軽減すること。
② 2個以上胚盤胞があれば、PGT-Aをすることで治療終結までの期間が3ヶ月以上短縮すること。
いずれも、着床しない・流産してしまう胚移植を避けることができるためです。
この費用対効果について当院でも検証してみたところ、PGT-Aを実施することで「①費用低下の効果」、「②時間短縮の効果」が顕著に認められました。
具体的な検証について、次回培養室から報告します。