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クリニックコラム

2021.03.07
いつ成熟するかによって、紡錘体の位置は変化する

こんにちは、培養室です。

毎日の気温差が大きくて驚きますが、寒さはだんだんと緩んできているように感じます。もうすぐ春ですね。

 

さて、前回のコラムでは卵子の細胞小器官である紡錘体のお話をしました。

紡錘体は卵子と精子が受精するにあたって非常に重要な役割を担っています。

顕微受精中に紡錘体を損傷させると正常な受精反応を阻害してしまうため、紡錘体には当たらないよう気を付けなければなりません。現在では偏光作用を用いて紡錘体を観察する装置を用いてから顕微受精を行なっています。

 

紡錘体の見え方は動画をご覧ください⬇︎

 

紡錘体は基本的に極体直下に存在すると考えられる器官です。

それがどうして、そんなにズレてしまうのかと言いますと、多くの場合は裸化作業※などの操作によってズレが生じるものだと思います。

※裸化……採卵直後、卵子は卵丘細胞で覆われています。卵丘細胞を剥がし、卵子単体だけの状態にすることを裸化と呼びます。顕微受精をするには必須の作業です

どのくらいの確率でズレているのかまとめた論文がありますのでご紹介します。

 

The position of the metaphase II spindle cannot be predicted by the location of the first polar body in the human oocyte

Th. Hardarson, K.Lundin, L. Hanberger (2000). Human Reproduction, Volume 15, Issue 6, Pages 1372-1376

 

今回の研究には、53名の女性からランダムに提供された合計112個の卵子が用いられました。ヒアルロニダーゼ という溶液と、ごく細いガラスの管を用いて裸化が行われています。

時間を区切って卵子の成熟を確認し、裸化時に成熟していた卵子([in vivo]群)と、裸化時には未熟であったものの32時間以内に成熟が確認できた卵子([in vitro]群)に分け、卵子を染色し、紡錘体の観察を行いました。

 

極体を0°の位置として観察した時に、紡錘体がどの程度の位置に来るかを表にまとめると以下のようになりました。

 

角度 in vivo群(n=54) in vitro群(n=43)
0°-29.9° 37% 58%
30°-59.9° 32% 35%
60°-89.9° 24% 7%
90° 以上 7% 0%

平均すると[in vivo]群でおよそ41.7°、[in vitro]群でおよそ26.6°となり、有意な差が確認できました。これにより、卵子の操作等のによって極体と紡錘体の位置が変化している可能性が示唆されています。

 

 

日々、卵子の取り扱いは非常に丁寧に行なっています。

それでも、紡錘体の位置がズレている卵子はまま見られます。論文と同様に、思わぬ位置に紡錘体がある場合にも、安全に顕微授精を行えるように肝に銘じて操作に取り組みます。