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排卵済みの卵胞から採卵した卵子で体外受精に成功

こんにちは、培養室です。

最近、大変興味深い論文を見つけたので、ご紹介します。

 

本論文は、排卵済みの卵胞から採卵した卵子で体外受精を試み、その妊娠率などについて検討しています。

当院でも破裂した後の卵胞から採卵することは以前より行っており、卵子も回収できることを経験してきました。しかし、実際にどれぐらいの回収率か、あるいは、普通の卵胞から回収した場合と妊娠率に差はあるのかについて検討はしていませんでした。

通常の排卵周期では、卵巣内で小さな卵胞(卵子が入っている袋状の組織)がたくさん育ち、一番大きく育った卵胞(主席卵胞)が破裂することで、中から卵子が押し出されて排卵します。その後、卵子は卵管内で精子と一緒になり(受精)、卵管を通りながら成長を続けて子宮に到達し、着床します。そのため、今までは排卵すると卵胞内に卵子は残っていないと考えられてきました。

 

本論文では、筆者が排卵しても卵胞内に卵子が残っている可能性を考え、排卵後の卵胞からの採卵とそこから回収された卵子を用いた体外受精の結果が報告されています。

自然周期もしくは低刺激周期の採卵時、排卵後と判断された卵胞を穿刺し採卵を行いました。その結果、回収率は一般的な体外受精(排卵前の主席卵胞からの採卵)の約半分でした。得られた卵子は、約8割が生存しており精子と一緒にすることができました。受精率、良好胚盤胞到達率、妊娠率、出生率に関しては、一般的な体外受精とほぼ同じ割合となりました。

 

以上のことから、卵胞が破裂しても卵子が押し出されず卵胞内に残っている可能性があること、さらに、そこから体外受精に用いることができる卵子を回収できる可能性があることが明らかとなりました。

考察として、排卵済み卵胞からも卵子を回収することができれば、体外受精に用いる卵子が増え、妊娠率が少しでも高まることが期待されます。

  

*主席卵胞以外の卵胞は成長がとまり消失します

 

当院でも、採卵時に既に卵胞が破裂した後であることはままあります。この場合に、どうするべきか、どんな手段を取り得るのか。当院であれば、ただ人工授精に切り替えるだけでなく、卵胞液の残留状況によっては採卵を行うこともできます。冒頭で書いたように実際に、そのような破裂後の卵胞からでも卵子を獲得した症例もあります。

破裂後の採卵に関して、院長曰く、穿刺にコツがあるのだとか。PGT-Aのコラムがひと段落したら、排卵や卵子のピックアップあたりのことをコラムにしようかしら、とのことです。

 

培養士は採卵まで、卵胞の発育や穿刺自体には関与できません。だからこそ取れてくる全ての卵子を大切に、少しでも早く結果に結びつけるよう今後も努力してまいります。

 

 

参考文献:Sci Rep. 2019 Oct 21;9(1):15041. doi: 10.1038/s41598-019-51551-9.

Prematurely ruptured dominant follicles often retain competent oocytes in infertile women.

Teramoto S, Osada H, Shozu M.

 

※3/21 3/8に公開したコラムに修正、加筆しました。

この記事を書いた人

培養室

培養室

不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックの医師や培養士が監修

なかむらレディースクリニックは、不妊でお悩みの方々に安心して不妊治療、体外受精をうけていただくためのクリニックです。朝8時から診察し、平日は木曜日を除いて夜7時まで受付をしています。日曜日、祝日も年末年始以外休まずに診察し、多忙な方でも相談していただきやすい不妊治療を目指しています。

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