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クリニックコラム

2018.05.15
これからの生殖医療① ゲノム医療時代の到来

こんにちは、院長の中村嘉宏です。
前回ラジオ出演のお話をいたしました。20分という限られた時間や、模式図やイラストを使えないところなど、なかなか解説が難しい部分もありました。

ラジオでは着床前スクリーニング(Preimplantation Genetic Screening:PGS)と子宮内膜着床能検査(Endometrial Receptivity Analysis: ERA検査)について解説しました。この二つはこれからの生殖医療を変えるポテンシャルを持っているので、数回に分けて詳しく解説していきます。

今回は、前置きとしてゲノム医学について簡単に触れておきましょう。
PGSとERAは、ゲノム医学の発展により臨床的に可能となった技術なのです。

ゲノム医学今昔

ゲノム医学とは、ヒトの全遺伝情報を網羅的に解析して治療方針などを決めて行く医学の方法です。
たとえば、ある遺伝子を持つ人には効くが、持たない人には効かない薬剤があったとします。治療を受ける患者さんの遺伝子を解析して、その薬剤を使うかどうかを決定するのです。

「そんなこと昔からわかっていたんじゃないの?」という疑問があるかもしれませんが、ヒトの遺伝情報が解析されて決定したのは、2003年のことです。
この年にヒトゲノム計画が終了し、ヒトのDNAの全塩基配列が決定されたのです。

その少し前、2000年頃、私は大学院生で来る日も来る日も卵子を活性化する遺伝子のシークエンス(塩基配列)を調べていました。

当時1日で読み取れる塩基配列は約600塩基程度でした。読み取った塩基配列をもとに、次の塩基配列を読むための足がかりとなるプライマーを作成、順番に塩基配列を決定していきます。このシークエンス法をサンガー法といい、最新の機械をもってしてもこの程度でした。

大学院当時の実験指導は、後にノーベル賞学者となる山中伸弥先生でした。山中先生から「中村君、この方法はDNAウォーキングといって、全塩基配列を読み取るのは、ちょうど歩いて地球を一周するくらいの感じ。」と言われたことを記憶しています。

その後、ショットガンスクリーニングという画期的な方法が出て、DNAの塩基配列は急速に解明されヒトゲノム計画は予定より早くに終了しました。
このように、科学技術には常にブレイクスルーがあります。

ゲノムとは遺伝子全体のことを指します。
ヒトの遺伝子、DNAは約30億塩基対でできていると言われています。そしてヒトの染色体は2対46本です。いわば、30億の文字で書かれた46巻の百科事典2セットに納められているような状況でしょうか。

そしてヒトの塩基配列が決定されても、その塩基配列は個人、個人で異なります。その個人間の違いを調べるのはヒトゲノム計画が終了した時点でも、部分的にしかできませんでした。個人個人の持つ百科事典全体を調べる、即ち「網羅的解析」を行うことは、ヒトゲノム計画が終了した時点でも不可能でした。

やがて技術が進化し、ゲノム全体の状態を調べる方法が出てきました。

その方法は当初、DNAチップと呼ばれていました。2002年頃、奈良先端科学技術大学院大学に移られた山中先生から、「DNAチップもやってるから興味があったら一緒にしよう」というお誘いも頂きました。
DNAチップは、今ではアレイCGHと呼ばれています。

その後、次世代シークエンサーという器械が登場し、アレイCGHより正確にゲノムの網羅的な解析ができる時代になってきました。数日もあれば一人のヒトの全塩基配列が読み取れるようになっています。
PGSもERAもこの次世代シークエンサーという器械を用いています。

今週はここまでにします。
続きはまた次回…