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当院についてCLINIC

クリニックコラム

2018.07.08
多核を含む細胞とその後の影響

こんにちは、培養部です。
連日の大雨で各地被害が多数出ていますが、皆様におかれましてはお変わりございませんでしょうか?
交通網が乱れている中でどうやってクリニックまで行ったものかと、遠方住まいの培養士は少しばたつきましたが、培養室自体は空調も万全で晴れの日も雨の日も変わりがありません。

また、培養業務には影響出ていませんのでご安心ください(笑)

それではコラム本題に入ります。

受精卵(胚)の発育

卵子と精子を同じdish(卵子、胚などを育てる器)に入れ、受精を試みることを媒精(ばいせい)と言います。この方法は(一般)体外受精とも呼ばれています。
また、1個の細胞である受精卵(胚)が細胞分裂を起こし2細胞(2細胞期胚)になり、それぞれの細胞で分裂が起きて4細胞(4細胞期胚)になり……、最終的に胚盤胞まで胚の発育は進みます。良好な発育をするものほど、ある程度共通したタイミングで分裂などの変化を起こす傾向にあります。例えば、媒精後7時間ぐらいで雌雄両方の前核が確認でき、1回目の分割は27時間前後、2回目は37時間前後、という風に。
残念ながら正常な発育=正常な胚ではない場合もありますが、胚評価をするときの判断基準の一つとして用いられています。

通常の培養庫では培養士の手(目)による観察、そのタイミングでしか胚の様子を確認できません。しかし、当院では今年から本格的にタイムラプスを導入し、それによって個々の胚が発するよりたくさんの情報を、より正確に得る事ができるようになりました。
その中で、発育の過程で多核の細胞を持つ胚が少なくない事に気づきました。

多核とは?

多核とは受精後、細胞分裂する際に染色体がうまく離れる事ができなかった細胞のことです。通常は1細胞につき1個の核が存在するはずが、2個以上存在する状態です。
※受精反応を確認する時に見られる、多精子受精などの異常受精とは異なります。

多核の細胞は細胞分裂が進む中で随時見られるものですが、1回目の分裂後に生じた2細胞に出現する核の状態がその後の発育に影響すると報告がありました。
本日はその論文の一部を紹介させていただきます。

Embryo multinucleation at the two-cell stage is an independent predictor of intracytoplasmic sperm injection outcomes.
Fertil Steril. 2017 Jan;107(1):97-103.e4.

顕微受精後、2細胞期胚において1細胞にだけ多核、また両方の細胞にも多核が出現した場合と両細胞共に多核が出現しなかった場合の着床率と生児出生率を比較しました。
その結果、下記の順で着床率、出産率共に低下していました。

多核が出現していない  (着床率 33.4%、生児出産率29.8%)

1細胞にだけ多核が出現  (着床率 27.7%、生児出産率22.7%)

2細胞共に多核が出現  (着床率18.3%、生児出産率13.4%)

このことから、論文上では2細胞期胚における多核は移植胚を決める上で参考にできるのではないかと考察していました。

同時に、多核のない胚より生児出産率が20〜50%低下するという報告がある一方で、多核を持つ胚からの出産も確認できています。これらのことを合わせて考え、当院では移植胚を決定する上での指標の一つとして用いながらも、いずれも貴重な胚の一つであると認識を持って扱わせていただいています。

患者様からお預かりした配偶子(精子・卵子)・受精卵に対して責任をもってお預かりしております。今後も、心を込めた胚培養を心がけていきます。