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クリニックコラム

2021.03.15
紡錘体の位置と、受精卵の発育予後

こんにちは、培養室です。

紡錘体の位置のズレについて前回お話ししましたが、ズレていることによって培養成績に影響はあるのか書いていないことに後から思い至りました。今回は、紡錘体の位置と、そのあとの発育予後まについて検討された論文をご紹介します。

 

Relationship between meiotic spindle location with regard to the polar body position and oocyte developmental potential after ICSI

Human Reproduction, Volume 18, Issue 6, June 2003, Pages 1289–1293, https://doi.org/10.1093/humrep/deg274

 

今回の研究では、採卵時に既に成熟していた卵子(前回コラムの[in vivo]群)532個と、採卵時に未熟・その後に成熟が確認された卵子(前回コラムの[in vitro]群)64個が用いられました。[in vitro]群の成熟判定は、未成熟を確認してから3時間以内に成熟したもののみを成熟として扱っています。業務では成熟するのをジリジリと焦らされながら待つのですが、研究となると時間もタイトに区切られています。

 

また、第一極体と紡錘体の位置関係の区分について、区分は異なっていますが、前回コラムと同じように4区画に分類しています。区分ごとの正常受精率と、受精した胚を3日目まで培養した時の発育を検討しています。胚の評価方法は以下の表に該当する部分の得点を加算して、合計が0-1点「excellent」、2-3点「good」、4点以上「fair」としました。発育段階に時間経過や多核細胞の有無まで絡めて確認しています。

対象 day2(44-48h) day3(66-70h) 得点

分割

(発育状況)

4細胞期以上 6細胞期以上 0
2-3細胞期 4-5細胞期 2
未分割 4細胞期未満 4
割球サイズ 同等 0
不等 1
フラグ量 10%未満 10%未満 0
10-30% 10-30% 1
30-50% 30-50% 2
50%超 50%超 3
多核 0
2

(Rienzi et al., 2002 より改変)

 

[in vivo]群に比べて、[in vitro]群の方が、第一極体と紡錘体とのズレが少ないという点について、前回の論文と同じような結果になりました。やはり裸化などの作業によって第一極体が移動することで、ズレを生じる例が多いのだと思われます。正常受精率は、90°以上のズレを認める卵子において正常受精率が下がったこと※を除き、いずれの群でも有意差は見られませんでした。

 

また、今回の表題についてですが、正常受精した胚を培養した結果、第一極体の紡錘体のいずれの区分の間にも評価に差は見られませんでした。つまり、正常受精が起こっているなら、紡錘体の位置と胚の発育予後には関係はないようです。

 

※該当する卵子は第二減数分が完了しないこと(極体放出不全)による異常受精であったことから、卵子の異常であった可能性が論文内で挙げられています。その場合は、培養士の操作とは無関係の、卵子固有の事情ということになります。同時に、裸化作業が卵子に悪影響をもたらした可能性も否定できません。あらゆる状態の卵子に当たる可能性を考え、ひとつひとつの卵子を大切に、丁寧にお預かりすることを心がけています。