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新型コロナウイルスは、男性の生殖機能に影響するのか?(前編)

こんにちは。

医師の藤森です。

 

妊婦さんや胎児、新生児に対するコロナウィルスの影響についてはニュースでも大きく取り沙汰されましたし、関連論文は数多くあります。

しかしその一方で、男性に対する影響についての論文は比較的少ないように思います。ウイルス感染症の中には、男性の生殖機能に影響を及ぼすものもあります。有名なところでは、おたふく風邪(ムンプス)です。おたふく風邪による睾丸炎は乏精子症の原因となります。

おたふく風邪に限らず、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やヒトヘルペスウイルス、エボラ出血熱ウイルス、ジカ熱ウイルスなど多くのウイルスは感染後に精液中にウイルスが排出されます。これらのウイルスも時に睾丸炎を引き起こし、男性生殖機能や造精機能に悪影響を及ぼすことが知られています。

それでは、新型コロナウイルスが、男性の生殖機能に影響したり、精液中にウィルスが排出されたりするのでしょうか?

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ここで今回紹介する論文は、Panらの報告で4月にFertility & Sterilityに受理され掲載待ちとなっている論文 “No evidence of SARS-CoV-2 in semen of males recovering from COVID-19”です。

新型コロナウイルスから回復した34人の精液中には、1例もウイルスが検出されなかったということが報告されています。

対象者のほぼ全例が軽症者、18歳〜57歳(中央値37歳)の男性、BMI中央値は25.0kg/m2(うち17例がBMI>25)で、新型コロナウイルス感染が確定してから精液検査を行うまでの平均期間は31日でした。

なお、BMIは体重÷(身長)2で求められる数字で、25以上を日本は肥満、WHOは過体重と定義しています。定義の違いを差し引いても、今回の対象者は太り気味の方が多かったようですね。

 

ウイルス感染の懸念などから感染初期に精液検査を行えたのは3例だけでした。ウィルスが精液中に検出された例はなく、少なくとも軽症例において感染回復後のウイルス排出のリスクは極めて低いと考えて良さそうです。特に長期的にウイルス排出するリスクはないと考えて良さそうです。

 

懸念事項としては、34名のうち6(19%)に陰嚢の不快感を認めたことです。パンデミック中であったためそれ以上の泌尿器科的な検査は感染早期に行われておりません。

同じコロナ属のウイルスである、SARS(2003年ごろ流行、現在は消滅)の合併症で死亡した例では、睾丸炎と生殖器脳障害を引き起こしていた症例が報告されています。それを考えると、より重症化した例では影響がないとは言い切れないかもしれません。しかし、生殖年齢にある方の新型コロナウイルス感染では、多くの場合、重症化率が低い(一般に8割が軽症、肥満や高血圧などの合併症がある人は重症化リスクが高いと言われる)ことから、大きな心配はしなくてもよいと考えます。

特に、体外受精においては、受精胚へのウイルス感染のリスクは低いと考えて良さそうです。

 

その他、ウイルスは細胞へ全く自由に侵入できるのではなく、細胞の表面の特定のタンパク質を足がかりにする必要があります。精巣において、コロナウィルスの足がかりとなるタンパク質の発現は非常に低いため、これも安心材料の一つかもしれません。

このことについては次の回で詳しく述べます。

この記事を書いた人

なかむらレディースクリニック

なかむらレディースクリニック

不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックの医師や培養士が監修

なかむらレディースクリニックは、不妊でお悩みの方々に安心して不妊治療、体外受精をうけていただくためのクリニックです。朝8時から診察し、平日は木曜日を除いて夜7時まで受付をしています。日曜日、祝日も年末年始以外休まずに診察し、多忙な方でも相談していただきやすい不妊治療を目指しています。

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