透明帯の役割①
こんにちは、培養室です。
今回は透明帯の役割についてのコラムです。
前回の動画で透明帯を「Zona」と書きましたが、正確には「zona pellucida」と言います。
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前回コラム
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卵子の細胞質を包む糖タンパク質でできた膜のことです。下図の矢印(↔︎)で示された、帯状の円形部分が透明帯です。通常、ヒトの透明帯の厚みはおおよそ15〜25μmと言われています。
ヒト透明帯はZP1~4の4種類の糖タンパク質が結合して形成されています。ZP2~4が帯状に繋がり、ZP1がZP2同士を接合することで層状になっています。
余談ですが、ヒトに限らず哺乳類の透明帯は一般的に3~4種類の透明帯で形成されることがわかっています。マウスではZP1~3、ウシ・ブタ・イヌではZP2~4のそれぞれ3種類の糖タンパク質で透明帯が形成されているそうです。
「μ」は「1/106(※10の6乗)」を表す単位で、1μm=0.001mmです。具体例を挙げると日本人の毛髪の直径が80~100μm(=0.08~0.1mm)程度だそうで、透明帯はその1/4ぐらい、ということになります。顕微鏡がなければ確認することさえ難しい世界です。
前回コラムの動画で、透明帯がなくても胚盤胞まで育つことを実際にご覧いただけます。
また、凍結融解胚移植を中心に移植の際にはレーザーで切開されたり、なんだか邪険にされている透明帯ですが、本来は次のような役割を持っています。
・卵巣内における卵子細胞質の保護・発育促進
・受精の促進/多精子受精の防御
・受精卵の保護
どれひとつ欠けても自然妊娠は難しい重要な役割です。
長くなりそうなので、具体的な話は次回にしようと思います。
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