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クリニックコラム

2017.11.29
異常受精? 1PN胚と言われたときは?

こんにちは、培養室です。

今回は、1PN胚について紹介したいと思います。

1PN胚とは

正常に受精した胚は、母方と父方それぞれの前核(PN)が1個ずつ、合計2個形成されます(2PN胚)。


しかし、正常に受精しなかった場合、3個以上の前核を認める多前核胚(2017/10/9コラム参照)や、1個の前核しか形成されない胚(1PN胚)となることがあります。

なぜ1PN胚になるの?

1PN胚の成因には、主に以下のようなものが報告されています。

①母方の前核と父方の前核の融合

②母方の前核形成と父方の前核形成タイミングのずれ

③単為発生(卵子が精子と受精することなく単独で発生を開始すること)

 

上記のうち、①、②であれば2PN胚と同様に2倍体(染色体を2組持つ正常な胚)であると考えられます。しかし、③の胚は半数体(染色体を正常の半分(1組)しか持たないもの)であり異常なため、移植の対象にはなりません。

 

因みに、1PN胚の発生頻度は10%未満だと言われています。

1PN胚に関する報告

1PN胚であっても胚盤胞まで到達したものは、分割期のそれと比べ母方と父方両方の前核を含む2倍体である割合が高いとの報告があります。つまり、胚盤胞まで培養することで1PN胚のうち異常であるものの多くを排除できる可能性があると考えられます。

実際、1PN胚を分割期に移植した場合の妊娠率、生児獲得率は大変低いものとなっていますが、胚盤胞期に移植した場合には一定の妊娠率が出ており、さらに健児の出産も複数報告されています。

 

第13回IVF学会 及び 日本卵子学会誌Vol.1 (2), 31-33, 2016 より

当院では

受精確認時に1PNと判定された胚は、胚盤胞まで発育を確認した上で凍結もしくは移植するという方針を取っています。

胚盤胞まで育った1PN胚は移植の対象となりますが、患者様と相談の上基本的には2PN胚を優先的に移植しています。
受精確認のお電話の際に「核が1個しか確認できませんでした」と言われた場合は、今回のコラムの内容を思い出していただければと思います。